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終活は何から始める?進め方の手順と遺言書・相続登記・エンディングノートの基本

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2026.08.22

終活は何から始める?進め方の手順と遺言書・相続登記・エンディングノートの基本

この記事の要点(先に結論)

  • 終活とは、人生の締めくくりに向けて情報・意思・財産・モノを整理しておく取り組みです。内閣府の調査では、60歳以上で「準備しているものはない」と答えた人が40.0%を占めており、まだ手をつけていない人のほうが多数派です。
  • 最初の一歩はエンディングノートが向いています。ただしエンディングノートに法的効力はないため、財産の分け方を決めたい場合は遺言書が必要です。
  • 自筆証書遺言は法務局が保管してくれる制度があり、保管の申請手数料は1件につき3,900円、家庭裁判所の検認も不要になります。
  • 2024年4月1日から相続登記が義務化されました。所有権の取得を知った日から3年以内の申請が必要で、施行日前に相続した不動産は2027年3月31日までが期限です。

「終活」という言葉は広く知られるようになりましたが、いざ始めようとすると「何から手をつければいいのか分からない」という声をよく聞きます。

この記事では、公的機関が公表している制度と手続きを軸に、終活の始め方を整理します。片付けや処分の話に入る前に、期限のあるもの・法律で決まっているものから押さえていきましょう。

終活とは?何をすることを指すの?

終活とは、自分の人生の終わりに向けて準備を進める活動全般を指す言葉です。法律上の用語ではなく、含まれる範囲も人によって異なりますが、おおよそ次のような要素が含まれます。

  • 財産や契約の情報を書き出して整理する
  • 医療・介護についての希望を伝えられるようにしておく
  • 財産の分け方について意思を残す(遺言書)
  • 判断能力が低下したときの備えを考える
  • 葬儀やお墓についての希望をまとめる
  • 家財やデジタルデータを整理する

大切なのは、すべてを一度にやろうとしないことです。順番をつけて、できるところから手をつければ十分です。

みんなどのくらい終活をしているの?

内閣府が2024年10月に実施した「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」(60歳以上が対象)では、今後の生活のなかで準備していることについて、次の結果が示されています。

準備している項目

割合

身の回りの所有物の整理(財産の整理を除く)

29.8%

葬儀の準備

21.8%

お墓の準備

21.8%

財産の整理(相続の準備等)

13.6%

身近な人へのメッセージやエンディングノートの作成

8.3%

リビングウィル(終末期医療の指示等)の作成

3.5%

準備しているものはない

40.0%

出典:内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」

同調査の分析では、75歳以上の層は60歳代と比べて終活の実施率が有意に高いことも示されています。「まだ早い」と感じている方が多数派であり、焦る必要はありません。ただし、後述する相続登記のように期限が定められた手続きもありますので、該当する場合は早めの確認をおすすめします。

終活は何から始めればいい?

優先順位をつけるなら、次の順序が現実的です。

順番

やること

目的

1

エンディングノートに情報を書き出す

家族が困らないための「情報の地図」をつくる

2

期限のある手続きを確認する

相続登記など、放置するとリスクがあるものを洗い出す

3

財産の分け方を決める(遺言書)

法的な効力をもって意思を残す

4

判断能力が低下したときの備えを考える

任意後見契約などを検討する

5

家財・デジタルデータを整理する

残された人の負担を減らす

エンディングノートと遺言書はどう違う?

混同されやすいのですが、性質がまったく異なります。

エンディングノートは、自分に何かあったときに家族が判断や手続きを進めるために必要な情報を残しておくノートです。形式が決まっていないため自由に書け、書き直しも簡単ですが、法的効力はありません

一方、遺言書は財産の分け方などを法的な効力をもって定める書類で、民法の定める方式に従う必要があります。

法務省と日本司法書士会連合会は、共同でエンディングノートを作成・公開しています。自治体でも配布している例があり、埼玉県坂戸市はエンディングノート「結び帳 〜元気なうちの終活〜」を無料で配布しています。さいたま市も、埼玉司法書士会とさいたま地方法務局の共同作成によるエンディングノートをダウンロードで提供しています。まずはお住まいの自治体の窓口や公式サイトを確認してみてください。

遺言書はどの方式を選べばいい?

主な選択肢は3つです。

項目

自筆証書遺言(自宅などで保管)

自筆証書遺言書保管制度(法務局)

公正証書遺言

作成方法

本文・日付・氏名を自書して押印

同左(法務局所定の様式要件あり)

公証人が作成、証人が必要

公的な費用

かからない

保管申請 1件につき3,900円

公証人手数料令に基づき算定

家庭裁判所の検認

必要

不要

不要

紛失・改ざんのリスク

ある

法務局が原本を保管

原本を公証役場が保管

自筆証書遺言については、2019年(平成31年)1月13日施行の改正により、財産目録に限ってはパソコンでの作成や通帳の写しの添付が認められるようになりました。ただし、その場合は目録のすべてのページに署名と押印が必要です。また、遺言書の本文・日付・氏名は、これまでどおり自書しなければなりません。

公正証書遺言の手数料は、公証人手数料令に基づき目的の価額に応じて算定されます。2025年(令和7年)10月1日に手数料が改正されているため、具体的な金額は日本公証人連合会の最新の手数料表でご確認ください

自筆証書遺言書保管制度の手数料は?

2020年(令和2年)7月10日に始まった制度で、法務局(遺言書保管所)が遺言書の原本を保管します。手数料は次のとおりです。

手続

手数料

遺言書の保管の申請

1件につき3,900円

遺言書情報証明書の交付請求

1通につき1,400円

遺言書保管事実証明書の交付請求

1通につき800円

遺言書の閲覧(モニターによる)

1回につき800円

遺言書の閲覧(原本)

1回につき1,700円

保管の申請の撤回・変更の届出

手数料なし

出典:法務省「09 手数料」(自筆証書遺言書保管制度)

保管申請の手数料は、その後の保管年数に関係なく申請時に定額です。納付は収入印紙で行います。この制度を利用した遺言書については、家庭裁判所の検認が不要になる点が大きな利点です。

相続登記の義務化で何が変わった?

終活を考えるうえで、いま特に注意したいのがこれです。

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続(遺言を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由がないのに怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となります。

見落とされやすいのが遡って適用される点です。施行日より前に開始した相続で取得した不動産についても対象となり、相続登記をしていない場合は2027年(令和9年)3月31日までに申請する必要があります。

すぐに遺産分割がまとまらない場合に備え、「相続人申告登記」という簡易な手続きも設けられました。これを行うと、申請義務を履行したものとみなされます。

ご自身が過去に相続した不動産の登記が済んでいるか、この機会に確認してみてください。

相続税や生前贈与はどこまで考えればいい?

まず、相続税がかかるかどうかの目安になるのが基礎控除額です。

遺産に係る基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人の数

基礎控除額

1人

3,600万円

2人

4,200万円

3人

4,800万円

4人

5,400万円

※上記の金額は国税庁が示す計算式から算出したものです。

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数えます。また、養子については算入できる人数に制限があります。相続税の申告および納税の期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

生前贈与については、近年の税制改正で扱いが変わっています。

  • 暦年課税では、1年間に贈与を受けた財産の合計額が基礎控除額110万円を超える場合に贈与税がかかります。
  • 2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から、相続開始前の加算対象期間が3年以内から7年以内に延長されました(相続開始前3年以内に取得した財産以外については、合計額から100万円を控除した残額が加算されます)。
  • 相続時精算課税を選択した場合、2024年1月1日以後の贈与について、暦年課税の基礎控除とは別に年110万円の基礎控除が新設されました。

制度は経過措置を含めて複雑ですので、実際の判断にあたっては税理士にご相談ください。

判断能力が心配になったときの備えは?

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。

項目

法定後見制度

任意後見制度

始まり方

判断能力が不十分になったに家庭裁判所へ審判を申し立てる

判断能力が十分なうちにあらかじめ契約しておく

類型

後見・保佐・補助の3類型

契約で定めた委任事務の範囲

支援者の決まり方

家庭裁判所が選任

本人があらかじめ選ぶ

契約の形式

公正証書によることが必要

効力が生じる時期

審判により発生

家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時

終活の文脈で検討されるのは、主に任意後見制度です。自分で選んだ人に、自分が決めた範囲を任せられる点が特徴で、そのためには判断能力が十分なうちに契約しておく必要があります。

デジタル終活も忘れずに

国民生活センターは2024年(令和6年)11月20日、「今から考えておきたい『デジタル終活』-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」を公表しました。

紹介されている事例として、故人が契約していたサブスクリプションについて、事業者に問い合わせたところ「すぐに解約するにはIDとパスワードが必要だ。それが分からなければすぐには解約できない」と言われた、といったケースが挙げられています。解約手続きをしない限り請求が続いてしまう点も指摘されています。

同センターは、終活の一環として、端末のロック解除の方法、退会が必要なサイトとそのID・パスワード、ネット関連の金融資産などをノートに記し、家族などに伝える手段を講じておくことを勧めています。

モノの整理は、余裕のあるうちに

制度の手続きと並行して考えたいのが、家財の整理です。内閣府の調査でも、実際に取り組まれている項目の中では「身の回りの所有物の整理」が29.8%と最も高くなっていました。

体力と判断力があるうちに進めておくと、選ぶ余地が生まれます。まだ使えるものは売る・譲る、思い出の品は写真に残す、といった選択ができるのは、時間に余裕があるからこそです。


私たち株式会社Next Earth(埼玉県坂戸市)は、「Re-Earth/地球と共に、未来をつくる」という理念のもと、不用品回収・買取・遺品整理/生前整理を行っています。生前整理では、ご本人やご家族のお気持ちを伺いながら、残すもの・売れるもの・処分するものの仕分けからお手伝いします。現地でのお見積もりは無料です。「何をどこから手放せばいいか分からない」という段階でも構いません。

なお、遺言・相続・後見に関する手続きは、司法書士・弁護士・税理士など各分野の専門家の領域です。当社ではモノの整理の部分をお手伝いします。

よくある質問(FAQ)

Q. 終活は何歳から始めるべきですか? A. 「何歳から始めるべきか」を示した公的な統計は確認できません。内閣府の調査は60歳以上を対象としたもので、75歳以上の層のほうが実施率が高いという結果が示されています。年齢よりも、判断力と体力に余裕があるうちに着手できるかどうかが実務的には重要です。

Q. エンディングノートに書けば、その通りに財産を分けてもらえますか? A. 分けてもらえるとは限りません。エンディングノートには法的効力がないためです。財産の分け方を法的な効力をもって定めたい場合は、民法の方式に従った遺言書を作成する必要があります。

Q. 遺言書は全部パソコンで作ってもよいですか? A. いけません。2019年1月13日施行の改正で財産目録についてはパソコン作成や通帳の写しの添付が認められましたが、その場合は目録の全ページに署名押印が必要です。遺言書の本文・日付・氏名は自書しなければなりません。

Q. 法務局の遺言書保管制度を使うと何がよいのですか? A. 法務局が原本を保管するため紛失や改ざんのリスクを避けられること、家庭裁判所の検認が不要になることが主な利点です。保管申請の手数料は1件につき3,900円で、保管年数にかかわらず申請時の定額です。

Q. 何年も前に相続した実家の名義変更をしていません。今からでも必要ですか? A. 必要です。2024年4月1日の施行日より前に開始した相続で取得した不動産も義務化の対象で、2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。すぐに遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記という簡易な手続きも利用できます。

Q. 相続税がかかるかどうか、どう判断すればよいですか? A. まず基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算し、遺産の課税価格の合計額と比べるのが出発点です。実際には財産の評価方法や各種特例で結論が変わるため、判断に迷う場合は税理士や税務署にご相談ください。

まとめ

終活は、順番をつければ難しいものではありません。まずはエンディングノートで情報を書き出すこと。次に相続登記のように期限のある手続きを確認すること。そのうえで、遺言書や任意後見といった法的な備えを検討すること。この流れで進めれば、抜け漏れは大きく減ります。

内閣府の調査で「準備しているものはない」が40.0%を占めていたように、まだ何もしていなくても遅すぎることはありません。今日、通帳とID・パスワードの一覧を1枚書き出すところからでも、確かな一歩になります。

出典・参考

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度の内容や手数料は改正される場合があり、個別の事情によって適切な手続きは異なります。実際のご対応にあたっては、法務局・公証役場・税務署のほか、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。